「リーマン」アウト「AIG」救済、の理由

 米国の金融危機深刻化で老舗のリーマン・ブラザーズ(LB)が経営破綻し、世界中の市場が激震に見舞われた。直後、保険最大手AIGが死の瀬戸際に追い込まれたが、米FRBによる9兆円規模の緊急融資が決定し、救済された。なぜLBが見放され、AIGは残ったのか。本来、保険会社は中央銀行とは直接つながっていないのに、である。
 ここ数週間、米当局と緊密に連携してきた日本の金融当局幹部の言葉を借りれば、「AIG破綻はあまりにも影響が大き過ぎ、米国は救済せざるを得なかった」というのが真相だ。影響度には2つの側面がある。ひとつ目は同社が世界中で生保・損保事業を手がけているため、「個人向け市場で大混乱が生じ、これが金融システム全体を揺るがす恐れがあった」(同当局幹部)。
 2つ目は、AIGが世界中の「リスク」の最終的な受け皿になっている点だ。現役記者時代、筆者はさまざまなデリバティブ取引の契約書に目を通す機会を得たが、多数の契約書にはAIG傘下の専門子会社の名が記されていたことを鮮明に記憶している。AIGは保険会社のスキルを生かし、ここ数年こうした金融取引専門の保証、いわば「金融保険」的な業務に注力、収益を上げてきた側面がある。
 銀行・証券界で高リスク商品が多数生み出された背後には、こうした保証という存在があったのだ。万が一、リスクの受け皿が破綻していたならば、「巨額の金融取引が無保険状態に陥り、未知数の大混乱が世界中に伝播(でんぱ)する恐れさえあった」(別の当局者)。
 現在、米国政府は経営難の金融機関を切り捨てるか支援するかの線引きを明確にしていない。しかし、その中身を点検するとこうした事情が透けてくる。

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